"石炭輸送"、かつては日本の鉄道貨物輸送を大きく占めた、いわば一大産業であった。南北東西で見られたこの輸送も時代には勝てず、今年度をもって姿を消す事となり、多くの人が連日撮影に訪れているようだ。

中東の余波から日本の産業は第二次石油危機を受け、石油から一部エネルギーを石炭に代替する流れが生まれた。その時代背景を受けて、ホキ10000形は開発され現在に至る。

長きに渡り愛されたものの、貨車自体も登場から40年を迎え、老朽化が著しい中で需要を見越して2020年という1つの時代の終わりとともに消える事となったのだ。

それと共にA101運用が廃止になる事で、国鉄から古きに渡り、関東南部地区を一手に引き受けてきた新鶴見の国鉄DLによる定期運用が遂に幕引きとなる。


FullSizeRender
2019/1/27 5764レ DE11-2004+ホキ10000 20車 11:09 @昭和駅



IMG_2852
同上
この地に残るのは時代の速度が早くなるにつれ、どこか追いつかなくなった平成初期の香りである。

扇町駅へと急ぐ。
到着した頃には、入換はスタートしていた。
相変わらず静かなDE11-2000、車齢こそ高いが当時の技術の結晶だ。

IMG_2853
黒い貨車を横目に構内を駆け巡る。


IMG_2854
そして逆側に連結し、押し込みを行っていく。20両はいつも見ても壮大な雰囲気を醸し出す。

IMG_2855



FullSizeRender
入換員のお方の合図で5783レの組成を引き出す為にポイントを渡る。

IMG_2857
ここのポイントは全て手作業である。やはり小回りの効くEF65とDE10系統のみぞなし得る特技であった。

IMG_2858
5783レの輸送分と連結し、あとは引き出しを行って扇町での仕事はお終いだ。

IMG_2861
1980年代以来、五千回は裕に数えるであろう入換も残るところ二桁である。  

IMG_2862
5783レ DE11-2004+ホキ10000 20B @扇町〜浜川崎 12:07

ここの線路も世に珍しい。複線電化に見えて、併走する貨物線と旅客線に過ぎず、逆走しているようにすら見えてしまうのだ。


FullSizeRender


IMG_2865
IMG_2863
DE11の仕事は新鶴見〜扇町〜浜川崎まで、あとは帰区するのみ。

多くの改正を乗り越え、廃止が囁かれる中で生き残ってきた本列車も遂に終わりが見えてきた。あと残土輸送が終わってしまえば、扇町に貨物はもう来ないのだ。

2020年までよく残ったと捉えるか、まだ走り足りないと考えるか人次第だが、私はこのご時世の中でよく走り抜いたと感じる。改めて改正までに何度か訪問しておきたい地区である。